新型コロナウイルス(感染症)知っておくべきウイルスの基本構造と増殖メカニズム

はじめに

連日ニュースやインターネット、新聞で報道されている「新型コロナウイルス」。
予防のためには、まずは正しい知識が必要です。
この新型コロナウイルスに限らず、1月~3月は感染症に対して用心が必要な時期です。
感染胃腸炎、インフルエンザなど、親になってから特にこれらの情報にはアンテナを張っています。
小さいな子どもがいる身としては、感染しないこと、そのために最低限の情報収集をしています。

今回、自分で得た知識をもとに備忘録として、ブログに書いておきます。

インフルエンザが流行する前に

2019年9月28日

新型コロナウイルスの名称

まず、中華人民共和国湖北省武漢市で昨年12月に発生し、現在猛威を振るっているのは、新型コロナウイルス感染症と呼ばれ、COVID-19(CoronaVirus Disease2019)という表記で世界的に統一された名称がつきました。
WHOのサイトにもそのことが書かれています。
コロナウイルス自体はすでに存在していたウイルスで、いくつか種類があります。
今回の新型コロナウイルスに関して正しい情報を入手するためには、COVID-19で書かれたものを参照されると良いと思います。

WHOのサイトより引用

Naming the coronavirus disease (COVID-2019) and the virus that causes it

Official names have been announced for the virus responsible for COVID-19 (previously known as “2019 novel coronavirus”) and the disease it causes. The official names are:

Disease
coronavirus disease
(COVID-19)

 

Virus
severe acute respiratory syndrome coronavirus 2
(SARS-CoV-2)

病名はCOVID-19、その病気を引き起こすウイルスはSARS-CoV-2 と呼びます。

コロナウイルスとは

ウイルスの基本構造

ウイルスは自分で細胞を持たず、他の細胞に入りこんで増殖していきます。
細菌よりも小さく、生きた細胞に侵入しないと増殖できない感染性微生物です。

大幸薬品より引用

 

ウイルスの構造は、DNAまたはRNAのいずれか一種の遺伝子(ウイルス核酸)と、カプシドと呼ばれるタンパク質の殻に覆われた基本構造をしています。ウイルス核酸とカプシドをあわせたものをヌクレオカプシドと呼びます。
ウイルスのなかには、カプシドの外側に、エンベロープという脂質二重膜に覆われたものもあり、エンベロープウイルスと呼びます。

エンベロープウイルスに対して、エンベロープのないウイルスはノンエンベロープウイルスです。
エンベロープウイルスの特徴としては、比較的アルコール製剤が有効(効きやすい)です。

http://www.isodine.jp/test/index.html より引用

予防のひとつとしても、アルコール製剤での手洗いについてWHOのサイトにも書かれています。

Wash your hands frequently

Wash your hands frequently with soap and water or use an alcohol-based hand rub if your hands are not visibly dirty.

アルコールの入ったジェルなどが有効ですが、現在はこれらは品薄になっていますね。


【追記】4月、消毒用アルコール不足の対策として、高濃度アルコールを取り扱う酒造メーカーが増えてきました。下記のブログに詳しくは書いています。

掃除や洗浄に万能なエタノールと生活を支えるメタノール

2020年4月19日

日本ウイルス学会によると、コロナウイルスは、プラス鎖一本鎖のRNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスと説明されています。(http://jsv.umin.jp/news/news200210.htmlより引用)

東京都健康安全研究センター
COVID-19の患者検体のウイルス写真

 

上の写真は、電子顕微鏡の写真ですが、ウイルス粒子が膜で覆われていて、その周りに突起が見えます。
この突起は、スパイクと呼ばれる糖タンパク質が突出したもので、ウイルスが増殖する際に、細胞に吸着・侵入するために作用する部分のようです。

ウイルスの増殖のメカニズム


 

 

増殖のメカニズムに関しては、こちらの書籍を参考にしました。

ウイルスは、自己複製の機能がないので、他の細胞(宿主)に感染して、その宿主細胞の機能を利用して増殖していきます。

まず、体内に侵入したウイルスは、宿主細胞の表面に吸着して、細胞内に侵入します。【細胞表面への吸着】→ 【細胞内への侵入】

細胞に侵入したウイルスは、殻(カプシド)が分解されて、カプシド内部からウイルスの遺伝子が遊離し、感染した細胞の核内に入ります。【脱殻(だっかく)】

感染した細胞の核内で、ウイルスに必要なタンパク質やウイルス遺伝子が合成されます。【部品の合成】
※ウイルス自体は自ら自己複製機能がないので、このように細胞の複製機能を利用しています

別々に大量生産されたウイルス遺伝子(核酸)とタンパク質は細胞内で集合します。細胞内で集合したウイルスは、細胞から出芽したり、または感染細胞が死ぬことによって放出され、増殖して、感染細胞から外にでていきます。【部品の集合】【感染細胞からの放出】

※この感染細胞からでていくウイルスのいくつかは、感染細胞の外に出る時に、細胞がもつ膜を覆って、エンベロープウイルスとして出ていくウイルスがあります。

https://www.kinopharma.com/pipeline/より引用

コロナウイルスの検査方法

厚生労働省のサイトによると、PCR検査法と呼ばれる検査で、陽性か陰性かを判断しているようです。

診断方法としては、咽頭ぬぐい液(インフルエンザの検査と同じように綿棒でのどをぬぐってとった液体)を用いて、核酸増幅法(PCR法など)でウイルス遺伝子の有無を確認します。実際に検査を検討する場合は、疑似症として保健所に届け出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査することになります。

 

大阪大学微生物病研究所のサイトで、検査方法について詳しい記載がありました。

PCR検査法は、Polymerase Chain Reactionの頭文字をとったものです。
特定のDNA断片だけを選択的に増やして、調べやすくするために用いられる遺伝子増幅技術。
この方法により、検査対象者から検出のために採取した咽頭ぬぐい液がわずかな量であっても、増殖させて、検査をおこなうことができます。

PCRの原理は、主に3つの行程で行います。
※コロナウイルスはRNAウイルスなので、DNAウイルスに変えるための「逆転写」という工程も必要。

http://www.biken.osaka-u.ac.jp/news_topics/detail/1092 より引用

(1)熱変性(2本鎖DNAを熱によって1本鎖に分離させる)

(2)アニーリング(結合)(温度を下げて、プライマーと呼ばれる短いDNA分子を、標的DNAの領域の両端に結合させる)

(3)伸長反応(耐熱性のDNAポリメラーゼがよく働く温度に下げて、DNAの伸長反応をおこなう)

この3つのサイクルを繰り返して、正確なコピーを合成していくようです。

PCR検査に使用する試薬は、タカラバイオ社さんが国立感染症研究所と連携して増産しているようですね。
富士フィルムも検査試薬の開発に着手したと報道もあり(https://www.sankei.com/economy/news/200220/ecn2002200057-n1.html)、このような企業サイトから情報を取得していくのも有効です。

 

参照サイト

日本感染症学会 http://www.kansensho.or.jp/

WHOのサイトでは、日々COVID-19に関する最新情報が更新されています
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019

飛沫感染と空気感染の感染経路の違いとは【新型コロナウイルスの正しい情報収集のために】

2020年3月22日




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