水性ペンで広がる世界
子供たちとある有名な実験をしました。
円形ペーパーフィルターに水性ペンで色を塗り、水に浸してからしばらく経ってそのペーパーを開くと、朝顔の花びらのように、濃い部分と薄い部分が広がるというもの。
子ども向けの科学実験でよく試される「ペーパークロマトグラフィー」です。
一色に見える水性ペンには、数色のインクが混ざって色が作られています。
ペーパーフィルターを水に浸した瞬間に、フィルターは水を吸って広がっていきます。
一方、それぞれのインクは、水の溶けやすさなどの性質の違いによって、水と同じ速さで広がるインクもあれば、少しだけ遅れて広がるインクもあります。
この広がる速度の違いで、下記のようなきれいな作品が出来上がります。
この実験を元に、物質を分離する方法である「クロマトグルフィー」について触れてみます。
クロマトグラフィーの原理
クロマトグラフィーに関して、こちらの書籍といくつかの企業サイトを参考にしました。
(参照サイト)
医学生物学研究所 https://ruo.mbl.co.jp/bio/support/method/chromatography.html
日本分析機器工業会 https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/chromatograph/principle/
まず、クロマトグラフィーの定義は、岩波理化学辞典によると
各種の固体または液体を固定相(stationary phase)とし,その一端に置いた試料混合物を適当な展開剤(移動相mobile phase)で移動させて,各成分の吸着性や分配係数の差異にもとづく移動速度の差を利用してこれを相互分離する技術を総称する
とあります。
前の実験に当てはめると、ペーパーフィルターが固定相になります。
移動相は水ですね。そして試料が水性ペン(インク)に当たります。
固定相(ペーパーフィルター)に接して流れる移動相(水)に試料(インク)を加えて、そのインクの特性の差によって分離していく技術 と言い換えることができます。
では、実際のクロマトグラフィーの原理はどうなっているのでしょうか。
固定相はガラス管などの筒状の内部にあります。この固定相を内包した筒状のものは、カラムと呼ばれます。
このカラムに、試料を負荷して、移動相(液体など)を流して、それぞれの成分を分離させます。
カラム内を通って、検出部と呼ばれる機器に到達した成分ごとに電気信号が生じます。これを成分ごとに記録していきます。
電気信号が生じた(つまり成分が検出された)状態では、クロマトグラムと呼ばれる図に山型のピークと呼ばれる反応が表示されます。
クロマトグラムは、試料を入れてからピークの最大値がでるまでの経過時間で表します。
この方法により、混合物の中から分離、検出を行うことができるわけです。
基本をいくつかのサイトと書籍で確認した後に、特許明細書を数件確認していきました。
応用範囲の広い分野ですが、共通する用語(充填剤、吸着)や分析機器の名前があることがわかります。
試薬の操作法や機器の取り扱い、固定相に使われる物質など、求められる知識は多岐に渡ります。
どの分野にも汎用できそうな、実験の基礎知識や機器に関して、特許明細書に共通する用語を拾い出して、明日まとめます。
直近のビデオで紹介されていた「実験を安全に行うため」シリーズの書籍は三冊まとめて購入。
デスクに向かうことができない子どもたちがいる時間に、チャンクを抜き取り、用語集と基礎固めに活用していきます。
後日どのように進めたのか、ブログでアウトプットしていきます。
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