目次
物理の捉え方
明細書を理解するため、現在は物理を中心に学習を進めています。
物理の公式や言葉の意味を捉える時に、理解の手助けとなるのが「図解化する」という作業です。
当業者は図面を見ただけでその特許が分かる、と管理人さんが何度もビデオの中で言われています。
図面を理解できない=当業者のレベルにはまったく達していないということですね。
物理の原理を図解化すること、図解化したものから何が読み取れるのかを自分の言葉で説明すること、これらを繰り返しおこなうことが特許明細書の図面の理解につながると思います。
中はどうなっているのだろう?
では、どのように図面を捉えたらよいか?
私は、ある絵本をイメージしながら考えるようにしています。
クロスセクション 輪切り図鑑 [ スティーヴン・ビースティ ]
子供用に購入した絵本です。
三次元で物を捉える力の手助けになれば、と購入しました。
「建物や乗り物の内部(中身)はどうなっているの?」という好奇心をくすぐるような輪切りの断面図や構造の仕組みが垣間見える絵本です。
表面からは知りえない、中の構造が細部に渡って描写されています。
わが家のこどもたちは、輪切りになった内部から小さな物や人を発見したりして、楽しんで読んでいます。
この絵本のように、科学に興味をもつきっかけになる本を下記のサイトで見つけることができます。
理化学研究所と編集工学研究所が選書した100冊の科学にまつわる良書が紹介されています。
知りたい気持ちが、学びにつながります。
もし科学に触れる機会を本で与えてあげたいなと思ったら、ぜひ参考にしてみてください。大人も面白そうな本がいっぱいです。
クロスセクションすること
この絵本のタイトルでもあるクロスセクションとは?
ある英語のサイトでは、クロスセクションについて以下のように説明されていました。
the face that results from slicing through a solid shape
クロスセクションは、横断面図のことです。
統計用語としても使われています。
ある時点のデータを断面的に切り取りとって行う分析のこと
つまり、クロスセクションとは、表からは見えないものを見ようとする手法のようなものです。
クロスセクションする、明細書の図面を輪切り(見る角度を変えたり、中の構造を理解する)にして、細部に注目していくことが明細書を読み解く鍵になると思います。
例えば下記の特許。粘着テープに関するものです。
【公開日】令和1年6月6日(2019.6.6)
【発明の名称】粘着シート
【出願人】
【氏名又は名称】日東電工株式会社
この明細書により提供される粘着シートは、第一面および第二面を有する。上記第一面は、粘着剤層の一方の表面により構成された粘着面である。上記第一面は、最大静止摩擦力が4.0N/cm2以下であり、かつ上記第一面をステンレス鋼板に貼り合わせた後に80℃で5分間加熱した後の粘着力N2が8N/20mm以上である。以下、粘着シートの第一面のことを「第一粘着面」または単に「粘着面」ということがある。また、以下において、上記粘着力N2を「加熱後粘着力」ということがある。
下記の図面は粘着テープの断面図です。
21は粘着剤層(くっつく部分)で、31と32は剥離ライナーといって両面粘着テープの両面についているツルツルした紙の部分になります。
剥離ライナーは粘着部分を保護する役割があります。一方でべたつきのない、剥がしやすさも求められます。
そのために、どういった素材が使わているのか?
また、粘着部分と剥離ライナーの層間では、どのような力が働いているのか?
粘着テープは、紙に粘着するだけでなく、フロア材・人工芝の固定にも使われます。
用途によって、粘着剤は天然ゴムや合成ゴム、あるいはこれらの混合物などが用いられます。
厚さや素材は?粘着する際に作用する力はどうなっているのか?
このように、図面を見て、どのような力が働き、材料や成分は何か、その部分ではどのような作用が起こっているかなどを学んだ物理や化学の原理をヒントに読み解くことで、明細書の全体が見えてくるのだと思います。
翻訳作業でも、言葉の置き換えだけをしないように、製品や技術を細分化し、見えないところを見ようとすることを意識して取り組みます。
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