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胃内視鏡(胃カメラ)
日本人の罹患率が高いと言われるがんのひとつ、「胃がん」。
消化器官のがんは、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、早期発見のためには、定期的な検診が推奨されています。
主な検査として、バリウム(造影剤)を飲むX線検査と患部を直接ファイバースコープで検査する内視鏡検査があります。
以前、X線検査(胃透視)に関しては記事を書きました。
胃透視が苦手だった私は、これ以降は内視鏡検査に切り替えました。
いわゆる胃カメラです。
昨年までは経口内視鏡でしたが、今年は自分の目で胃を見てみたいと思い、経鼻内視鏡を受けてみました。
疑問に思っている方、これから健診を控えている方の参考になれればと思い、実体験に基づいて、どのような検査なのかを書いてみます。
そもそも内視鏡検査とは何?
胃内視鏡検査は、上部消化管と呼ばれる、食道・胃・十二指腸の消化器官を検査します。
この検査により、例えば胃の炎症や腫瘍、ポリープなどがないかを調べることができます。
内視鏡検査の方法は、経口内視鏡と経鼻内視鏡の2種類があります。
口から内視鏡を挿入する場合は経口内視鏡と呼び、鼻から内視鏡を挿入する場合は経鼻内視鏡と呼びます。
今回、私は経鼻内視鏡を選択したのですが、その理由は以下の通りです。
- 鎮静剤を使用しないので車などの運転ができる
- 検査時間が短縮できる
- 検査中に会話ができる(自分の胃の状況を見ることができる)
検査の流れ
私が体験した検査のおおまかな流れです。
時間は約40分程度かかったと思います。
1、胃がきれいに見えるようにするために、胃の壁の泡を消す消泡剤(ガスコン水)と呼ばれる液体(コップ1杯程度)を飲みます。
色は白色、少しどろっとしていて、薄めのポカリのような味でした。
2、カメラを挿入する前に、点鼻薬(血管収縮剤)を左右の鼻腔に噴霧します。
(出血しにくくするため)
3、数回、鼻腔に麻酔をします。
(注射器のようなもので数回注入されました)
4、鼻腔に麻酔剤を塗ったやわらかいチューブを挿入します。
(内視鏡が通りやすくするため)
※内視鏡を通すほうの片方の鼻に挿入します。
5、胃の動きを止めるため、腕に筋肉注射をします。
1~5までは検査前の処理になります。
6、いよいよ内視鏡を挿入!
体勢は横向きになります。
鎮静剤を使っていないので、内視鏡が食道から胃、十二指腸を通っている様子の説明をしっかり聞きながら、モニターで視覚的に確認することができます。
(前処理を除く)検査自体の時間は5分から10分程度でした。
モニターに映る自分の消化器官
違和感は多少ありましたが、想像していたよりはきつくありませんでした。
それよりも、自分の胃や十二指腸を見れたことが驚きでした。
内視鏡は鼻を通っているので、会話もできました。
まったく同じものではありませんが、確認した内視鏡はほぼこんな感じでした。
内視鏡の先端部分にカメラが装鎮され、管部分は湾曲する構造になっていました。
鼻から挿入された内視鏡は、鼻の狭い部分を通り、食道へ。
そのあと、胃の中を詳しく検査して、最後に十二指腸を検査していきました。
モニターを確認しながら、その画像の鮮明さに驚きました。
挿入されている時に、消化器官内はライトに照らされて、胃の内部までしっかりみることができました。
これは、ライトガイドとよばれる光源の光によるものです。
挿入中に消化器内を洗い流し、レンズに移りにくいものは吸引されていきました。
これはノズルと鉗子出口によるものですね。
挿入部は湾曲しながら進んでいくので、痛みもほとんどありませんでした。
前回の検査で、胃の中に良性の小さなポリープがありました。
今回そのポリープを探した際に、あまりに小さすぎて、先生もなかなか見つけることができませんでした。
しばらくして見つけたポリープは小さすぎてモニターでは確認しにくかった時に、手元を操作して、レンズを拡大して、小さなポリープもモニターに映し出していました。
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内視鏡を取り出す際は、今度はレンズの見え方を変え、消化器官内の血管だけが映し出される画像に切り替えられ、血管等に異常がないかを確認しながら、内視鏡を抜いていきました。
OLYMPUSの特許
多数の内視鏡関連の特許が検索でヒットしました。
経験した後に特許で確認してみると、内視鏡の各部位に関してそれぞれの機能や構造が理解できそうです。
今回は下記の特許を取り上げてみます。
【発明の名称】内視鏡システム
【出願番号】特願2018-61756(P2018-61756)
【出願日】平成30年3月28日(2018.3.28)
【出願人】 【氏名又は名称】オリンパス株式会社
鼻からの内視鏡を経験して、いちばん驚いたのは、挿入部が消化器内部に触れる感覚をほとんど感じなかったことです。
検査前のイメージは、長い管が消化器内部に挿入される際、やはり異物なので多少の痛みが伴うと思っていました。
実際は、挿入はスムーズでした。
胃に内視鏡が到達した際も、胃の内部をあらゆる角度から映し出していました。
これらはすべて、湾曲する挿入部を手元の操作部を使って自由自在に操作しているからですね。
【0003】
内視鏡は、例えば被検体の内部の病変部を観察、処置等するために被検体の内部に挿入される挿入部と、各種操作を行うための操作部とを備えている。例えば、操作部は、挿入部に設けられた湾曲部をUD(上下)方向に湾曲させるためのUDアングルノブと、湾曲部をRL(左右)方向に湾曲させるためのRLアングルノブとを備えている。
【0004】
内視鏡の操作者は、病変部を観察、処置等を行う場合には、UDアングルノブとRLアングルノブとを操作し、挿入部に設けられた湾曲部をUD方向及びRL方向に湾曲させる ことができる。
【0021】
湾曲部22には、複数の湾曲駒が配置されており、複数の湾曲駒の先端側にUD湾曲操作ワイヤ及びRL湾曲操作ワイヤの一端が連結されている。
内視鏡の挿入部は、挿入性を向上させるため(より湾曲するようにするため)、配列された複数の湾曲駒が隙間を有して配列された構造になっています。
例えば腕時計のベルト部分を思い出してみてください。
駒(金属片)をつなぎ合わせた構造になっていて、手首へ湾曲して装着することができます。
挿入部の湾曲駒の構造は、腕時計のベルト部分と同じような構造です。
【0026】
ユーザが吸引ボタン28aを操作することで吸引ポンプを制御し、先端部21に付着した体液、汚物等を吸引することができる。
また、ユーザが送気送水ボタン28bを操作することで送気送水ポンプを制御し、送水タンク及び/又はガスボンベを介して液体及び/又は気体を先端部21に送気及び/又は送水することができる。
モニターに映る消化器内部の映像には、たびたび挿入部から噴射される水分が映っていました。
映像を鮮明に移すために送水し、その送水された水分は吸引されるので、胃の内部が水分でタプタプなってしまう違和感もほとんどありませんでした。
内視鏡には湾曲部の湾曲量の時間変化を記録できるようになっています。
消化器内部に挿入されてしまう内視鏡は、操作者がどのような操作を行なったかを手元の操作を見ているだけでは可視化することが難しいです。
そこで湾曲部の湾曲回数や時間を数値がすることで、あらかじめ耐用試験で決定した数値以上になった時に、メンテナンスの必要性を警告することができるとしています。
また指導者の手元操作の記録を湾曲部の操作情報として残すことで、初心者の操作者が見本としてその数値を参考にすることができるため、技術の習得にもつながっているようです。
経口か経鼻か
検査後、すぐに帰宅できたこと、先生の説明を聞きながら消化器官を確認できたことを考慮すると、次回も経鼻検査でよいかなという結論になりました。
自分の体の状態を知ることは、とても重要なことです。
気になる方は、ぜひ試してみてください。
参照サイト
日本消化器内視鏡学会 https://www.jges.net/citizen/faq
おなかの健康.com https://www.onaka-kenko.com/endoscopy/inspection/joubu.html
OLYMPUS https://www.olympus-imaging.jp/