目次
熱容量が変わると熱量はどうなるのか?
熱量と熱容量、言葉は似ていますが、この違いについて考えていきます。
熱量と熱容量の関係を考える時、水位で考えるとわかりやすいと思います。
例えば、空っぽの容器Aがあります。
上の図のように、この容器に水を貯めると、水位が上がります。
水→熱、水位→温度 で考えてると、
「熱がたまると、温度が上がる」と考えることができます。
(熱が多くなればなるほど、温度は上がっていきます)
では容器の大きさを変えた場合はどうなりますか?
図のように、容器をBに変えて考えてみます。BはAの容器より断面積が大きい容器だとします。
さきほどのAの容器と断面積を大きくしたBの容器に、最初と同じ水をためたとします。
Bの水位は当然、Aの容器よりも低くなります。
熱に置き換えると、断面積の大きいBの容器に熱をためると、温度はBのほうが低くなります。
このように、同じ量の熱をためた場合、熱容量(質量に比例して熱容量は大きくなります)の大きなものでは、温度の上昇は小さくなります。
熱量を求める公式
熱量の公式で考えてみます。
熱量は、一般的にQ(quantity of heatのq)と表します。
単位はJ(ジュール)です。
上の例えの通り、熱量は熱の大きさを表します。
水1gを温めるのに必要な熱量Qとすると、 Q(熱量)=1g×c(比熱)×ΔT(温度)
※cは比熱、ΔTは温度の変化を表します。
比熱については、前の記事でも書きましたが、物質によって異なります。水の比熱は4.217です。
水の容量を大きくして、1g⇒2gならば、Q=2g×c×△T
mgの場合、Q=m×c×ΔTとなります。
熱容量と特許
熱容量に関する特許で検索しました。
足の裏を暖める足温器に関する特許。
足を暖める原始的な暖房器として湯たんぽがありますが、簡便で足裏を暖める足温器として電気ヒータまたは温湯を加熱源とするものが取り上げられています。
【公開番号】特開2005-287908(P2005-287908A)
【公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【発明の名称】足温器
足が直接触れる足温板にはアルミ板が使われています。
足温板は足に直接触れるものなので。低温やけどを防ぎ、安価で、軽く、短時間で暖められることが必要になります。
短時間で暖められということは、暖めやすい=熱容量が小さい材料が使われます。熱容量が小さいので、暖めに必要な熱が少なくて済みます。
やけど防止のために、熱源と肌が直接触れることがないように、断熱材(6)が使われています。
【0013】
図1は本発明を実施した実施例(実施例1)の構成を示し、図(A)は側面図、図(B)は正面図を示す。図1において、足温板1はアルミ板で形成されている。アルミ板は加工が容易であるだけでなく、全体の熱容量も小さくすることができ、短時間の加熱で容易に所定の温度(例えば摂氏略40度)に温まるようにすることができる。足温板1の裏側面に加熱源として電気ヒータ2が密着して設けられている。電気ヒータ2は、例えばニクロウム線等から構成されている。電気ヒータ2は図示省略の電気コードにより電源コンセントに接続されている。電気ヒータ2と足温板1との間には熱伝達のよい絶縁材料3が挿入され、足温板1は電源と完全に絶縁され、安全性の確保がなされている。電気ヒータ2は断熱材6により被覆され、足温板1の後方向に熱が逃げないように、また電気ヒータ2に直接物が触れないように構成されている。【0014】
足温板1には後方に突出させてブラケット1aが固設(または一体形成)され、ブラケット1aにアーム4a、アーム4bが回動自在に接続され、更にアーム4bは支持台5の上面に設けられたブラケット5aに回動自在に接続されている。上記の回動部分(図では3個の回動部分)は全て蝶ナット等の手段7で任意の角度で固定可能に構成されている。
比熱で特許検索
【公開番号】特開2013-57036(P2013-57036A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【発明の名称】高温域において見掛け比熱が増加する冷却液およびその循環方法
【出願人】
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温域において冷却液の見掛け比熱が増加する冷却液およびその循環方法に関する。【背景技術】
【0002】
一般的に、高温域において冷却液の見掛け比熱を増加させる方法としては、高温域で融解する相変化物質を冷却液中に分散させる方法、冷却液を高温域において気化させる沸騰冷却等の手段がある。
自動車のオーバーヒートを防ぐのに重要な冷却水に関する特許です。
たまにガソリンスタンドなどで給油の最中にボンネットを開けてもらって点検してもらうと、「冷却水が少なくなっています」と言われることがあります。
引用(https://car-moby.jp/104858)
ボンネットの中を見ると、上のような色のついた液体が入った容器があります。
この中には冷却水と呼ばれる液体が入っていて、この部分をクーラントと言います。
作動中のエンジンの燃焼室内部はとても高温な状態になっているので、このまま高温で放置しておくとエンジンが破損してしまいます。
そのため、エンジンが一定の温度を保つように、この冷却水をつかって、温度をある一定になるようしておくことが必要です。
冷却液はただの水ではなく、防腐剤や不凍液などのさまざまな液体が混じっています。
成分表を見てみると、いろいろと化学薬品の名前が記載されています。
冷却水は自分で交換も可能です(私は無理ですが)
冷却液は、高温になったエンジンを冷却するためエンジン内部を循環しているため、時間の経過とともに劣化したり、蒸発したりするため、定期的に交換や補充が必要になってきます。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、従来技術の現状に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、水および1種以上の有機溶媒を含む多成分冷却液において、冷却液が40℃以下の低温状態においては水成分に富む水相と有機成分に富む有機相に分離し、45℃から該冷却液の沸騰温度までの高温状態においては有機成分に富む有機相が増加した水分率を有する冷却液とすることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の冷却液は、低温域では冷却液の見掛け比熱が小さいために速やかに所定の温度まで到達し、また、高温域において見掛け比熱が大きいために液循環量を少なくすることができる。
特許の有機成分は冷却水の化学薬品の成分のことで、水相の水成分は水のこと。
一般的に他の物質と比較して、水の比熱は高いことが特徴です。
比熱の差を利用して、低温状態では有機相だけを循環させ、高温状態では有機相と水相を均一に循環させる循環法を使っています。
低温状態で水の含有量が少ない有機相だけが、冷却液循環ポンプを介して循環され、(4)の徐熱部で高温になったエンジンを冷却するために使われた後、温度が上昇し、循環ラインを通って、冷却液槽に循環されていきます。高温状態では、低温状態よりも上層有機相の水分量が増加した状態になります。
【発明の効果】
【0016】
冷却液中に相変化物質等の固形成分を含まないため、長期使用において冷却液の劣化を少なくすることができる。冷却液の蒸発を伴わないため、従来の循環系システムをそのまま利用することができる。また、低温域では冷却液の見掛け比熱が小さいために速やかに所定の温度まで到達し、高温域では冷却液の見掛け比熱が大きいために液循環量を少なくすることができる。
【0044】
実施例1
水(W)20g、1-ブタノール(1B)20gを50ml蓋付サンプル管に入れ、十分混合した後に25℃恒温槽に入れ、静置分離した後の上層有機相から20mgをアルミシール容器に量り取り、マックサイエンス社示差熱走査熱量計(DSC3100S)にて比熱を求めたところ、2.95kJ/kg・℃と測定された。同様に、水(W)20g、1-ブタノール(1B)20gを50ml蓋付サンプル管に入れ、十分混合した後に80℃恒温槽に入れ、静置分離した後の上層有機相の比熱を測定したところ、3.60kJ/kg・℃と測定された。この時、80℃においても、2相分離状態であった。25℃と80℃における比熱の差から、比熱変化は、0.65kJ/kg・℃と求められた。-30℃の恒温槽に30分保持したところ、上層有機相はシャーベット状、下層水相は完全に凍結した。
今回は、比熱の箇所だけに注目して、読みました。
自動車に関しては、大まかな構造を理解して、その中で使われている化学や物理の知識をフックにして、少しずつ読み解いていくと少しは理解が深まると思いました。
多くの特許に切り口を変えながら触れていくような学習を続けていきます。
今日はここまで。次の項目に進みます。
余談
熱の伝わりなどを学習していて、ヒーターや冷蔵庫などの家電よりも、氷まくらや湯たんぽのほうが頭に浮かんできました。
割りと昔ながらの氷まくらや湯たんぽのほうが好きです。
子供たちが熱を出した時など、市販の冷えピタよりも
氷を入れた氷枕のほうが子供たちも気にいっています。
中身が氷だと伝えると、氷=冷たい と直感で熱を下げてくれるものだと分かるのかもしれません。
わが家には、これと全く同じ氷まくらが常備されていて、寝苦しい夜などには「氷まくらつくってー」と言われることもよくあります。
そばがらの枕みたいに、氷の擦り合う音も好きなようです。
冬には湯たんぽを使っています。
おススメは、ドイツ製のファシーの湯たんぽ。(https://www.yutampo.jp/)
もう6年ほど使っていますが、お湯が漏れることもなく、かなり丈夫です。
温かさも持続して、寝る前に布団の足元に入れておくと、布団の中が全体的に温まります。
暖房が苦手なので、重宝しています。
膝の上に湯たんぽを置いて、その上からブランケットをのせておくと、簡易版コタツみたいになるので、早朝の勉強には欠かせないアイテムです。
部屋全体が暖かいと、頭がぼーっとするのですが、これだとお腹周りや足元だけ暖めることができるので、なかなかおススメです。
コメントを残す