身の回りの現象を物理の基本法則に結び付ける

子供の好きなもの

勉強の合間をぬって、家族(こども?)サービス。
近所の祭りに気分転換もかねて、出かけました。

祭りの中でも、子供たちに人気の綿菓子。


わが家の子供たちも、大きな綿菓子が目の前で作られる様子を不思議そうに見ていました。

私は小さい頃に、まるで雲のような食べ物だと思っていました。

甘い味はもちろんのこと、魔法のようにフワフワのお菓子が出来上がる演出も、子供たちを魅了する要因のひとつかもしれませんね。

今日は、綿菓子の作られる仕組みを、特許明細書で調べてみました。

 

綿菓子製造機のしくみ

綿菓子製造工程では、3つの化学と物理の基礎概念が使われていることに注目しました。

  • 物質の三態
  • 遠心力
  • アモルファス

物質の三態

引用

 

まず、綿菓子の材料となる固形の砂糖を加熱して溶かします。この時、回転釜に置いた固形の砂糖は、ヒーターによる高温加熱によって溶解し、固体(Solid)から液体(liquid)へと状態変化をします。

 

遠心力

上の図のように、固体の状態は粒子同士が隙間なく並んでいますが、液体では粒子間に隙間ができています。
この粒子が、回転釜の側面にある細孔(小さな穴)を通って、外側に糸状に出ていきます。

液体状になった粒子を外側に押し出すためには、回転釜(加熱を加えながら)を高速回転させた時に生じる遠心力という力が必要です。
高速で外側に吹き飛ばされた溶解した状態の砂糖が、空気中で一気に冷えて糸状に固まり、それを割りばしなどで巻き取ります。

これが、綿菓子です。

アモルファス

固形状の砂糖が、フワフワの綿菓子状態になりました。
固体の状態の砂糖は、結晶構造をしていましたが、加熱によって液状に融解し、遠心力による回転で急速冷却され、結晶構造が崩れたまま再び固形化します。この状態を非結晶(アモルファス)と呼び、完全に固形状態に戻らないため、フワフワ(粒子間同士に隙間のある)の綿菓子が出来上がります。

引用

 

遠心力とは

遠心力を考える時、「慣性力」という言葉を理解しておく必要があります。

まずは慣性の法則について

慣性の法則とは、外から力が作用しなければ、物体は静止または等速度運動を続けるという法則のことです。

具体例で考えてみます。
ボールは外から力が加わらない限り静止した状態。また動いているボールは、そのまま動き続けます。

慣性の法則では、F=ma運動の法則が成り立ちます。
※Fはボールに働く力、mはボールの質量、aは加速度を表すとすると

(静止の場合)Fが0なので、a(加速度)も0になります。力を加えない限りは加速しないということです。
(等速運動の場合)Fが一定の力で動いている時、a(加速度)は同じように一定になります。

運動の法則で大切なことは、加速度は力に比例とするということです。
質量1kgの物体に加速度1m/s²を生じさせる力(F)は1N(ニュートン)となります。
言い換えると、加速度が生じると、力が発生するということになります。この関係が成り立つものが、慣性の法則です。

慣性力

止まっていた電車が、進行方向に動き始めた(加速度が発生した)時を考えてみます。

 

ポイントは動き始めた(加速し始めた)ということです。

止まっていた電車が動き始めると、電車に乗っている私たちはどうなりますか?

進行方向(前)へ加速している時、私たちの体は後ろの方法に倒れそうになります。(後ろに少しからだが傾く状態です)
体が傾くことはなくても、少し後ろ(進行方向とは逆向き)にひっぱられるような感じがありますよね?

この後ろにひっぱられる力の正体が、慣性力です。

次の例で考えてみます。

止まっていた電車が加速し始めました。
電車の中に、質量mのカバンがあったとします。

電車が加速し始めた様子を、電車の外から見ていた人を観測者Aとします。
また電車に乗っている人を観測者Bとします。

ここと
電車の中のカバンは、観測者AとBにはそれぞれどのように見えると思いますか?

観測者Aの視点では、電車内のカバン(物体)は、電車と一緒に加速しているように見えます。
一方、観測者Bの視点では、電車内のカバンは静止している状態です。

観測者Aの視点からみたカバンの運動方程式は、F=ma・・・①が成り立っています。
なぜなら、カバンと電車は一緒に加速しているように見えるからです。

観測者Bの視点から見た場合、カバンは静止しています。
静止しているということは、力がつり合っているということになります。
つまり 進行方向への力(F) その逆方向に働く力(慣性力)=0 になります。
慣性力はFと同じなので、慣性力はmaになり、つまりF=maなので、F-ma=0・・・②の式が成り立ちます。

①と②の式は同じことを表していますね。
慣性力は、観測者Bだけが感じる力です。

つまり、加速している物体と同じように加速している観測者(加速度運動をしている観測者)だけが感じる見かけの力です。

円運動の慣性力

円運動でも慣性力はあります。
例えば、電車がカーブ右に曲がる時は右側に、左に曲がる時には体は左側に傾きます。
このように、円をえがく運動をする場合に、外側に向かってかかる見かけの力は、慣性力です。

 引用

円運動の場合の慣性力を遠心力と呼びます。
円の中心にむかって働く力(向心力)と逆向きに働く力が遠心力(慣性力)です。
この遠心力がなければ、物体は一定の円を描いて回転できません。

参考にした特許明細書

綿菓子製造機器×特許

【公開番号】特開2006-280241(P2006-280241A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【発明の名称】綿菓子製造装置
【出願人】
【氏名又は名称】不二製油株式会社

【技術分野】
【0001】
本発明は、綿菓子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
綿菓子は、粗目の砂糖を回転釜に入れて高温に加熱し、加熱融解させた砂糖を、細孔若しくはスリットから空気中へ噴射することにより繊維状に固化させ、これを棒に巻き取ったもので、綿飴とも呼ばれる砂糖菓子である。着色してない白色のものや、赤や黄色に着色したものが、お祭りの出店などで販売され、人々に親しまれている。
しかし、これらは鮮やかで見た目に華やかだが、これらの多くは風味に関してはほとんど考慮されておらず、砂糖の味のままである。着香した粗目を原料に用いることも一部では行われているようだが、原料が高温で加熱融解させるため、香料が揮発ないし分解してしまい、思うように効果があがらない。また、香料も耐熱性のあるものに限定される。

【0013】
漏斗状の副原料供給手段(9)は、回転釜の回転から独立して本発明の綿菓子製造装置に固定され、回転している副原料分散手段上に粉末状の副原料を連続的に供給することを可能としている。
粗目の砂糖が融解され、噴射口(8)から噴射される間に、粉末状の副原料の所定量を少しづつ副原料供給手段(9)を通じて副原料分散手段(6)上へ供給すると、副原料は、当該副原料分散手段の回転の遠心力により外周部に飛散、分散し、噴射中の砂糖繊維に連続的に付着するか外枠で受止められている砂糖繊維に付着する結果、極めて簡単に呈味材等の副原料が付着混合された全く新規な綿菓子を得ることが可能となる。

 

【公開番号】特開2003−333994(P2003−333994A)
【公開日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【発明の名称】綿菓子製造装置【出願人】
【氏名又は名称】ロイヤル工業株式会社

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色や香りのついた飴玉を用いる綿菓子製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の綿菓子製造装置では、赤色や白色の砂糖(粗目糖)を加熱された釜内に投入し、溶融した砂糖を高速で回転する釜に設けられた小さな孔から遠心力で糸状に飛び出させ、これを細い棒に適宜巻き取って綿菓子とするように構成されている。例えば、特開昭56−99749号公報には、赤色や白色の砂糖を使用して赤や白の綿菓子を随時製造する技術が開示されている。また、特開平8−289731号公報には、色と香りと味の変化に富む綿菓子を得るための、香料ベースを被覆した粉末香料が表面に付着された綿菓子用粗目糖、及び粗目糖にエチルアルコール水溶液を噴霧し、乾燥しきる前に香料ベースを被覆した粉末香料を付与してから混合乾燥を行う綿菓子用粗目糖の製法が開示されている。

(2)投入された飴玉cは、電気ヒーター20により加熱状態とされたオーブン35の被加熱板36、籠体40の基部41の上で2、3分間で溶融する。その溶融した液状の飴は、モータ装置25によって約1000rpmの高速で回転するオーブン35の隙間sから遠心力作用によって無数の細い糸状に放出される。

まとめ

遠心力、慣性力に関しては、これから物理の範囲で学習する予定です。
今回、予習もかねてまとめてみました。

講座のビデオを見て、管理人さんとの考えの差や足りない部分は後日確認したいと思います。
遠心力に関しての別な特許は、答え合わせ後に再度調べなおしをしてみます。




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