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【公開番号】特開2015-114478(P2015-114478A)
【公開日】平成27年6月22日(2015.6.22)
【発明の名称】クリーニング装置
【出願人】
【氏名又は名称】三星電子株式会社
特許検索する際に指定したキーワードは、ばね定数と弾性力です。
物理で復習した「ばね」について、特許でどのように使われているか確認しました。
この特許は、プリンタなどの画像形成装置に関するものです。
プリンタには、感光体ドラムに付着するゴミや残留トナーを除去して、次の印刷の準備をするクリーニング(清掃工程)の機能があります。
クリーニングについて、基本的な原理を企業サイトで調べてみました。
富士フィルムのサイトで確認したものです。
上のイラストのように、回転する感光体ドラムにゴム製のクリーニングブレードを接触させ、付着物を除去します。
クリーニングをすることで、安定した画質を維持できるため、画像形成装置にとっては重要な機能になります。
この特許でも、クリーニングについて、同じような説明がされています。
【0002】
画像形成装置には、感光体ドラムの表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置が搭載されている。クリーニング装置は、画像形成装置に回動自在に取り付けられたブレード保持ホルダでクリーニングブレードを保持し、圧縮コイルスプリングによりブレード保持ホルダを介してクリーニングブレードを感光体ドラムに押し付けるものである。
ばね定数
本発明に係るクリーニング装置によれば、弾性部材の変位量に応じてばね定数が変わり、感光体ドラムの摩擦力の増大等の影響でクリーニングブレードが感光体ドラムに巻き込まれると、弾性部材の変位量が大きくなる。そこで、弾性部材の変位量が設定値以内となる場合は、弾性部材が第一ばね定数となってクリーニングブレードを荷重する。これにより、クリーニングブレードを感光体ドラムに正常に押し付けることができる。一方、弾性部材の変位量が設定値を超える場合は、弾性部材が第一ばね定数よりも小さい第二ばね定数となってクリーニングブレードを荷重する。これにより、クリーニングブレードが感光体ドラムに巻き込まれて感光体ドラムの回転方向に揺動しても、弾性部材によるクリーニングブレードへの荷重を小さくすることができるため、ブレード捲れの発生を抑制することができる。この場合、設定値は、クリーニングブレードが感光体ドラムに巻き込まれてからブレード捲れが発生するまでの間の弾性部材の変位量で、適宜設定できる。なお、弾性部材は、例えば、不等ピッチ圧縮コイルスプリング等の非線形コイルスプリングや、自由長の異なる複数のコイルスプリングを組み合わせたスプリングアッセンブリを用いることで、弾性変形量に応じて異なる複数の弾性力を有するものとすることができる。
※変位量…ばねの伸びのこと、弾性部材…ばねのこと
こちらの特許では、クリーニングブレードの先端部分が感光体ドラムに接触した際に、ブレードが捲れたりするのを防止するために、クリーニングブレードに荷重をあたえる弾性部材にばね定数の異なる不等ピッチ圧縮コイルスプリングを組み合わせていました。
不等ピッチ圧縮コイルスプリングとは
引用:大同ばね
左は、ピッチ(ばねを巻く間隔)が等間隔ですが、不等ピッチは不均等になっています。
これにより、たわみの量に応じてばね定数を変えることができるようです。
特許の中のこちらの図面は、不等ピッチのスプリングについて説明されていました。
第二弾性部のほうが、第一弾性部よりばね定数が小さくなります。
ばね定数は、ばねの伸びにくさを表します。
Fを弾性力(弾性力とは、力が加わって変形した物体が、もとの状態に戻ろうとして他の物体に及ぼす力のこと)、Xをばねの伸び、kをばね定数とおくと、 F=kX の公式になります。
公式をグラフで表した場合がこちら。
ばね定数が大きいほど、伸ばすために大きな力(F)が必要になります。
上の図のように、弾性部材には、ばね定数の異なる複数の部材が並列に配置されています。
クリーニングブレードを感光体ドラムに押し付けている(クリーニングしている)状態は、弾性部材(ばねの部分)は圧縮された状態です。
(a)のばねの状態は、正常にクリーニングブレードが感光体ドラムに押し付けられています。
しかし、感光体ドラムの摩擦力が大きくなり、クリーニングブレードが捲れるような異常状態になると、弾性部材(ばね)は(b)の状態になり、自然長まで伸び切ったばねは荷重されなくなります。
73bのばねのみで荷重することになります。
3つの弾性力が働いていたものが、1つの弾性力になることで、クリーニングブレードが感光体ドラムに与える荷重が弱くなり、その結果ブレード捲れが防止できるという仕組みになっています。
一方、感光体ドラムの摩擦力の増大等の影響でクリーニングブレード61の自由端が感光体ドラム30に巻き込まれると、クリーニングブレード61が感光体ドラム30の回転方向に揺動して弾性部材63が必要以上に伸ばされることにより、第一弾性部63aが略伸びきった状態になる。これにより、実質的に第二弾性部63bのみの弾性力しかクリーニングブレード61に荷重されなくなって、クリーニングブレード61を感光体ドラム30の回転方向に押す力が弱くなるため、ブレード捲れの発生が抑制される。
まとめ
簡単ですが、以上ばねの弾性力を利用した特許でした。
こちらの特許は、画像形成装置(プリンタ)の画像形成に関する概略も記載されていて、大まかにプリンタの構造を理解することができました。
特許を読む際、何社かの企業サイトを横断して読むことで、共通点が見えてくることも分かりました。
同じような類似特許まで本来はおさえておくと、さらに理解が深まると思います。
何社か代表的な企業の特許で確認していきます。
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