葉っぱビジネスとスターリングエンジン

先行するビジネス

懐石料理や和食は、「目で食べる」料理と言われます。
繊細な味はもちろんのこと、盛り付けや彩りから四季を表現したり、器で料理を引き立てたりと、その見た目を楽しむことができます。

料理を引き立たせるものとして、「つまもの」があります。
お刺身に添えてある大根の千切りや大葉などがつまものの代表です。
秋を表す落ち葉や春を表す桜も、立派なつまものと呼ばれる種類になります。

この葉っぱに着目し、きれいな葉っぱをお金に変えた町が徳島県上勝町にあります。
株式会社いろどり https://www.irodori.co.jp/index.asp

落ち葉や葉っぱは、ある人から見れば掃除をしなければいけない煩わしいものです。
ですが、料理人のように、つまものを必要としている人から見れば、貴重な宝ものです。

ビジネスにおいて、いち早くその価値に気づき、マネタイズ化することが重要ですよね。
しかも、この落ち葉ビジネスは、元手がほぼゼロ円です。
ゼロから価値をうむことができるモデルケースとして、注目をされています。

物理の学習でも、同じようなケースの技術がありました。
廃熱や工場熱などの熱を回収し、エネルギーに変える「スターリングエンジン」です。

今回はこのエンジンについて取り上げてみます。

スターリングエンジンの原理

スターリングエンジンとは

ヘリウムガスなどの作動ガスをシリンダー内に充填し、外部からの加熱でガスを膨張させ、仕事をさせる機関。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関とは異なり、シリンダー外で燃料を燃焼させるので外燃機関の一種である。

図 https://www.yanmar.com/jp/technology/technical_review/2017/0127_5.html

上の図はβ形スターリングエンジンの基本機構です。
どのようにして熱をエネルギーに変えるのか、その仕組みについて考えてみます。

スターリングエンジンの内部は、ピストン(ディスプレーサ―ピストン)と仕切りの役割をするパワーピストンが、互いに90度くらいの位相差で動くようになっています。
仕切りの両端は少しだけ隙間ができています。

1、熱源によって熱を加えていきます。
内部の気体が加熱され、内部の温度が上昇し、熱量が与えられます。

2、気体は膨脹して、仕切りが上に押し上げられます。
仕切りが動くと、ピストンも円盤を回転させながら、上に上がっていきます。

3、円盤が回転し、仕切りがいったん底まで下がることによって、加熱部分を塞ぎ、内部の温度はいったん低下します。
内部の温度が下がると、膨脹していた気体は、次に収縮をします。つまり圧縮状態になります。

4、仕切りは再び加熱され、気体が膨脹し、仕切りが押し上げられていきます。

熱を加え続ける限り、1~4を繰り返すことになります。

このサイクルがスターリングエンジンの原理です。
熱を仕事のエネルギーに変えていく仕組みです。

 

スターリングエンジン 模型DIYキット 教育/科学/実験
こんな楽しそうなキットもありました

スターリングエンジンと特許

【公開番号】特開2019-74073(P2019-74073A)
【公開日】令和1年5月16日(2019.5.16)
【発明の名称】スターリングエンジンを用いた小型発電装置
【出願人】
【氏名又は名称】株式会社エスコアドバンス
【氏名又は名称】株式会社エコステージ

スターリングエンジンが注目される理由のひとつは、二酸化炭素を排出している化石燃料の代用エネルギーとして期待されているからです。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオマスなどの有機物を燃料として高温気流を発生させスターリングエンジンを作動する小型発電装置に関する。
【0004】
畜産廃棄物は再生可能な有効なエネルギー利用としてメタン発行発電(特許第5636311・特許第5764351号)がある。糞尿を発酵し発生したメタンガスでガスエンジン発電機によるエネルギー化する技術が確立されているが、発酵槽、ガス処理施設、発電施設、水処理施設など大がかりなプラントとなり経費が大きく液肥が利用できず排水処理に多大な費用を用し、全国において北海道以外は赤字稼働となり中止が相次いでいる。

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、バイオマスなど有機廃棄物の利活用ためまた、畜産事業発展のため畜産廃棄物を燃料として燃焼させ高温気流を生成し、スターリングエンジン発電機で発電する小型発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はバイオマスなど有機廃棄物の利活用ため、畜産廃棄物を燃料として燃焼させガス熱の高温気流によりスターリングエンジン発電機により電力を得ることができ、かつ畜産廃棄物をエネルギー原料にすることで畜産廃棄物の減容できるスターリングエンジンを用いた小型発電装置に関する。

家庭や工場から排出される汚泥、畜産廃棄物などのバイオマスは豊富に存在して、その処分についても課題になっています。
バイオマス燃料として再利用することも可能ですが、設備などのコストが大幅にかかるうえに、装置も大型になるため、畜産業者などにとっても負担となっています。

この特許では、費用やスペースの課題を解消するために、小型の発電装置としています。

【実施例1】
【0028】
本発明にかかるスターリングエンジン発電機2を用いた小型発電装置は目的とするバイオマスを燃料として発電し、有機廃棄物を減容する小型発電装置についての実施例を説明する。
【0029】
本発明は外部から遮断された耐熱容器1の上部にスターリングエンジン発電機2の吸熱部分4が耐熱容器1内に吐出装着しており、下部には耐熱容器1内に高温旋回気流を送り込むバーナーが装着されており、最下部には排気口8を備えている。耐熱容器1は鉄性で内面は金属製に沿わせた約5センチメートル厚さのキャスタブル3を施す。
バーナー部分5は燃焼ガスと空気と反応する高温気流発生部分と旋回高温気流発生翼部分、上昇高温気流に向きを変える上昇気流方向変更ベント部分7で構成している。
バーナー1は25%含水率量のバイオマス原料で50kW出力バーナーを使用する。この時のバイオマス燃料の使用量は畜産廃棄物で時間あたり約13kg使用することになる。これは7kW発電仕様のスターリングエンジン発電機1機の場合である。複数台設置の場合は台数分を乗じた値となる。
【0030】
バーナー部1と接続する旋回高温気流発生翼部分6はバーナーから出てきた高温気流を旋回気流にするための翼を設ける、翼は金属製もしくはバーナー部分を耐熱にするキャスタブルの整形で翼にすることができる。旋回気流発生翼6を通過後上部に備えたスターリングエンジン発電機2の吸熱部分4に旋回気流を滞留させるため上昇気流に向かわせるベント構造とする。バーナーからベント構造までは金属もしくは金属に覆われたキャスタブルを3センチメートル施す。
【0031】
バーナー5に送るガスはガス化燃焼室11で直接燃焼用バーナー12によりバイオマス燃料を燃焼させガス熱を発生させる流動床ガス化燃焼室である。発生したガス熱は燃焼室上部のフィルター9を通してバーナー5に送られバーナーに吹き込まれた送風機10による空気と反応し高温気流として耐熱容器1に送り込む。
【0032】
本発明は耐熱容器1内に備えたスターリングエンジン発電機2に耐熱容器1内の下部に備えたバーナー5から出る高温気流を旋回気流に変え上昇旋回高温気流をスターリングエンジン発電機2の吸熱部分4で高温気流の滞留時間を長くし発電効率を高めることを特徴としている。従ってバーナー5からでる高温気流発生については前記術の方法でもよいが、ガス発生方法では間接燃焼でもよく、また固定床ガス化方式、噴流床ガス化方式、ロータリーキルンガス化方式でもバーナーから先は同等の効果が発揮できるものである。

バイオマスを燃焼して発生したガス熱を使って、小型のスターリングエンジンを発動させ、エネルギーをつくりだす仕組みです。
発生したガス熱は、送風機をつかって、鉄製またはステンレスの耐熱容器内に送られ、そのガス熱で加熱されたスターリングエンジンが稼働します。

今回の特許は、スターリングエンジンの構造には触れていない特許でした。
ただし、特許の全体像を理解するためには、エンジンの仕組みが分かっていることが前提になっています。

化石燃料の枯渇や環境問題を考えると、バイオマス燃料を熱源として、その熱源からエネルギーをつくりだすシステムはとても有効です。

太陽光×スターリングエンジン、廃熱×スターリングエンジンなどの組み合わせでもう少し特許を検索して理解を深めたいと思います。

参照サイト

物理学解体新書 http://www.buturigaku.net/main01/Thermo/CarnotCycle.html
日本スターリング普及協会 http://eco-stirling.com/about-se.html
Panasonic http://panasonic.co.jp/ism/eco/engine/
YANMAR https://www.yanmar.com/jp/technology/technical_review/2017/0127_5.html
産総研 https://www.aist.go.jp/science_town/environment/environment_12/environment_12_01.html#a1




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