粘膜免疫系を勉強中に、食中毒にかかった経験を思い出した話

初めての

ずいぶん前のことですが、鮮明に覚えていることがあります。

社会人○年目。
一人暮らしで自炊生活をしていました。
一人暮らしあるあるなのですが、一度に大量のおかずを作ってしまい、数日同じものを食べ続けることはよくある話です。
冷蔵庫最強説を信じ切って、冷蔵してある手作りハンバーグを食べ続けていました。
食べきった3日目。その日の夜中に、急な腹痛と吐き気。

ここと
これは・・・

そう、食中毒でした。
原因は、ハンバーグ。(だと思います)
すぐに緊急外来に行き、点滴をしてもらいました。
水分を口にしてもすぐに嘔吐してしまい、数日間は胃腸の違和感が続きました。

とても辛い経験で、今でも思い出したくありません!

食中毒を引き起こす細菌やウイルス

広辞苑では食中毒を以下のように定義しています。

飲食物を摂取したために起こる中毒。
細菌(葡萄球菌・ボツリヌス菌・サルモネラ・大腸菌・腸炎ビブリオなど)・ウイルス(ノロウイルスなど)・自然毒(フグ・毒茸など)・化学物質などの混入が原因。食品中毒。

細菌性食中毒の中で、発生件数が多いものとして、カンピロバクター食中毒があります。
カンピロバクター属の細菌は、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ニワトリなど)の消化管に常在しています。

生化学辞典(第4版)を調べてみると、学名はCampylobacter Jejuni(カンピロバクター ジェジュニ)。
グラム陰性らせん状桿菌(棒状)です。

カンピロバクター(引用:ヤクルト中央研究所

お肉を切った後の箸や包丁で、そのまま野菜に触れる などの行動はNGですね。
生肉についている菌の付着を招いてしまいます。

まな板などはお肉用、野菜用などで分けることも大切ですね。

カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌などは熱に弱いので十分に加熱することで、食中毒予防につながります。
ノロウイルスの場合は、アルコールよりも塩素系消毒液に弱いので、家族内で感染者がでた場合は、使った食器やトイレなど、こまめに除菌が必要です。

食中毒を引き起こす細菌やウイルスについて、さらに詳しく知りたい場合、下記のサイトが参考になりました。
食品安全委員会 http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku.html

食中毒細菌の侵入メカニズム

私の場合、夕方に食事をとって、吐き気と腹痛の症状がでたのは夜中でした。
症状がでるまでに、6時間程度かかっていました。

ここと
この間、体内では何が起きていたのでしょうか?

細菌やウイルスが体内に入ると、その種類によって潜伏期間は異なります。
吐き気や腹痛などの胃腸炎の症状がでている場合、一般的な食中毒に感染している状態ですね。
細菌が口に入ってしまっても、腸管感染を起こすほど強力ではなく、症状がほとんどない場合もあります。
この場合は、体内の免疫防御によって、細菌やウイルスは除去されています。

急性胃腸炎の症状(食中毒症状)がある場合、細菌などは腸管上皮細胞を突破して、腸管内で増殖している状態です。
正常な腸管状態が保てなくなっています。

体内に入った細菌やウイルスは、腸管の障壁である腸管上皮細胞を通過することが必要です。
上皮細胞内にあるM細胞から突破します。
例えば、M細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導してM細胞自体を殺傷し、ここから侵入します。

通常は、腸管内の免疫応答が作用して、侵入してきた細菌や病原体を制御します。
仮にこの防御が失敗してしまうと、病原体は腸管内で増殖をしていきます。
これにより、食中毒感染の症状が発現してしまいます。

出典:[理化学研究所]

腸内環境を整える、腸内フローラ

腸管内には膨大な数の腸内細菌が存在しています。
腸内の細菌は600兆~1000兆個と言われています。
重さはなんと1.5キログラムにもなるそうです。

腸内フローラと呼ばれいます。
腸内細菌を構成する菌は以下の3つに分類されます。

  • 善玉菌
  • 悪玉菌
  • 日和見菌

善玉菌は、ビフィズス菌や乳酸菌のフェーカリス菌などのお腹の調子を整えてくれる働きをして、悪玉菌が増殖するのを防いでくれます。
悪玉菌は、腸内で有害物質を作りだしてしまうので、増殖してしまうと、お腹の調子が悪くなる原因になってしまいます。

日和見菌は、どちらにも属さない菌です。ただし悪玉菌が増殖すると、有害な働きをしてしまうことがあります。

この3つの菌が、通常はバランスを保ちながら腸内環境を保っています。
人によって、腸内環境は様々。善玉菌や悪玉菌、日和見菌の割合も人によって異なっています。

腸内環境を整えることは、腸内細菌が適切に免疫応答作用を行ってくれることにつながります。
ただし、ストレスや睡眠不足、食事のみだれなどが原因で、腸内細菌が正常でない状態をつくってしまうことがあります。
→悪玉菌が増殖し過ぎてしまうなど

私の場合、食中毒の数週間前にインフルエンザにかかってしまいました。
いつもよりも、免疫力が低下した状態で、通常ならば免疫制御作用により撃退していたはずの小さな菌によって食中毒を引き起こしてしまったのかなと思います。(個人的な憶測ですが)
これからの時期、暑くなり、湿気も増えて来る時期です。
食中毒、要注意ですね。

参考サイト

MSDマニュアル家庭版 
厚生労働省
森永乳業ラクトフェリン研究所

 




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